【生成AI活用事例】GMOインターネットグループが2024年上半期で約67万時間の業務時間を削減:様々な職種の調査分野を中心に効率化が進む
概要
この記事は、GMOインターネットグループ株式会社の2024年6月25日付けプレスリリース「GMOインターネットグループ、生成AI活用により2024年上半期で約67万時間の業務時間を削減 国内パートナー(従業員)の83.9%が生成AIを活用」を参照にしながら、その取り組み内容に考察を加えたものです。
企業名
GMOインターネットグループ
取り組み内容や結果の要約
- 「AIで未来を創るNo.1企業グループへ」を目標に、全社的な生成AI活用を推進
- 2024年上半期で約67万時間の業務時間削減を実現
- 国内パートナー(従業員)の83.9%が生成AIを活用
- 生成AIを活用するパートナー一人あたりの業務削減時間は26.8時間/月
- グループ全体で約13万2,000時間/月の業務時間削減を達成
特徴
- 全社的な AI 活用と定期的な調査
GMOインターネットグループは、全社的にAI活用を推進し、その効果を定期的に調査・公表しています。これにより、AI活用の進捗状況を可視化し、継続的な改善につなげています。 - 複数のAIモデルの活用
約半数(47.2%)のパートナーが複数の生成AIモデルを使い分けており、各AIモデルの特性を理解し、業務に応じて適切なAIを選択しています。 - リスキリング施策の実施
「AI(愛)しあおうぜ!プロジェクト」として、全パートナー受講必須のAIセミナーや、非エンジニア向けの集中型リスキリング企画「虎の穴」を実施し、AI活用のすそ野を広げています。 - 具体的な活用事例の共有
調査、開発、翻訳・要約など、様々な職種でのAI活用事例を具体的に共有しています。これにより、他のパートナーも参考にしやすく、AI活用の促進につながっています。 - AIの限界の認識
AIを使って「まだ自分(人間)がやったほうが良い」と感じる場面についても調査し、AIと人間の役割分担を明確にしています。
考察:様々な職種の調査業務で活躍
GMOインターネットグループの調査結果の中で、特に注目すべき点は「2024年4月~6月まで最も成果があった業務効率化の事例について」の部分です。この調査結果から、生成AIが営業、エンジニア、ディレクターなど、様々な職種の調査業務に大きく貢献していることが明らかになりました。
全社的に生成AIを導入する際の傾向として、まずはGoogle検索の代替として活用し、その威力を実感するというパターンが見られます。これは、使いやすく、効果がわかりやすいところからアプローチするという戦略であり、社員の抵抗感を減らしつつ、AIの有用性を体感させる効果的な方法と言えるでしょう。
一方で、「AIを使っていて『まだ自分(人間)がやったほうが良い』と感じたことについて」の回答を見ると、以下のような課題が浮かび上がります:
- 法的な調査や判断、専門知識が必要な分野
- 専門分野におけるアイディア出し
- 過去のデータを踏まえた具体的なデザイン
- 人の気持ちを「汲み取る」こと(EQ関連)
これらの調査やアイディア出しに関する課題については、「生成AIの使い分けをしているのは約半数」という結果を考慮すると、やや割り引いて考える必要があります。つまり、調査に適したAIの選択やプロンプトの設定が適切に行われていない可能性があるため、実際の生成AIの能力よりも低く評価されている可能性があります。
しかし、それでも生成AIをそのまま使用するだけでは、深い専門知識に関する回答を得ることは難しいのは事実です。この課題を解決するために、今後GMOインターネットグループでは、より専門的な情報をインプットした自社ボットの開発に進む可能性があります。
このような自社特化型のAIボットは、企業固有の知識やノウハウを取り込むことで、より高度で正確な情報提供や分析が可能になると考えられます。さらに、専門分野でのアイディア出しや、過去のデータを踏まえたデザイン提案なども、より高い精度で行えるようになる可能性があります。
ただし、人の気持ちを「汲み取る」といったEQ関連の課題については、当面は人間の能力に頼る部分が大きいでしょう。この分野でのAI活用は、人間の判断を支援する補助的な役割に留まる可能性が高いと考えられます。
結論として、GMOインターネットグループの事例は、生成AIの全社的な導入と活用において、段階的なアプローチの有効性と、AIと人間の適切な役割分担の重要性を示唆しています。また、将来的には自社特化型AIの開発が、より高度な業務効率化と専門性の向上につながる可能性を示唆しています。
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