パワハラプロンプトとは?出力結果を改善させる汎用プロンプトの解説とその実行結果を検証
パワハラプロンプトとは?
パワハラプロンプトとは、深津貴之さん(@fladdict)が開発した、生成AIに一度出力させた成果物のクオリティを上げさせるプロンプトです。
これは、日本ディープラーニング協会主催の2023年10月22日のイベント「~生成AI業界のトップランナーが語る~ビジネスへのアドオンでおさえるべき知識と最新動向」にて発表されました。
最近僕の中でアツいのが、逆にちょっとパワハラじみて人間にできないことをAIに命令するってのが多くて。 今僕の中で1番熱いプロンプトの1個が、何か命令して出力させるじゃないですか。で、出力した時に「ではこの出力を60点としますこれを60点とした 時に100点とはどのようなものですか 100点にするために足りないものを列挙した後に100点の答えを生成してください」って言うと確実に良くなるんですよ。
「~生成AI業界のトップランナーが語る~ビジネスへのアドオンでおさえるべき知識と最新動向 (オンライン/参加無料)【10/22開催】JDLA緊急企画!」より引用。元の部分を変更しない範囲内で編集しています。
で、確実に良くなったものに、「これをまた60点で定義すると…」って言うとまたずっと良くなるんで。
その同じプロンプトをコピペするだけでどんどん良くなるっていうのが最近アツくて。
しかも同じプロンプトを回すだけなんで、Python組める人はWhileでループ組めばウィーンって勝手に性能が良くなるんで。疑似的にプロンプトの中でベクトル化することで性能とか方向性をものすごくコントロールするってのが今アツいですよね。ただ人間にはできない。人間でやったら多分その人会社辞めちゃうと思うんで(笑)
ここで解説されている通り、以下のようなプロンプトがパワハラプロンプトになります。
ではこの出力を60点としますこれを60点とした 時に100点とはどのようなものですか 100点にするために足りないものを列挙した後に100点の答えを生成してください。
一度生成AIに出力させたものに対し、それをブラッシュアップさせる指示を繰り返すことで品質が向上していきます。
パワハラプロンプトの検証(GPT-4o)
「文章が上達する具体的なロードマップを教えて下さい」という指示にパワハラプロンプトを実践してみます。ツールはGPT-4oです。
初期出力
6ステップで出力してくれました。
しかし、具体性に欠けているため、「それっぽいけど、実際には何をすればいいの?」と思える内容です。
これにパワハラプロンプトを実行します。
パワハラプロンプト一回目
パワハラプロンプトを実行すると、ChatGPTは初期出力を以下のように評価しました。
人間目線で見た違和感と同様の指摘をしています。
そしてこの指摘を自ら反映させた成果物がこちらです。
『日本語文型辞典』『新選 日本語の語彙』など、具体的な固有名詞が多く含まれるようになりました。60点から100点にするため、具体性を増していることがわかります。
※『新選 日本語の語彙』という本は実在しないようです。ただ、それはプロンプトではなくGPT-4oの問題のため、ここでは深く追求しません。
この新しいロードマップを人間目線で評価すると、まだイマイチですね。
「何をするか」は記載されていますが、「どれくらいの量を」「どのくらいの期間」行うのかといった量的な視点が欠けています。
パワハラプロンプトをもう一度実行してみましょう。
パワハラプロンプト二回目
先程の出力結果を、以下のように評価しました。
パーソナライズやケーススタディなど、What(何をやるのか)ではなく、How(どうやるのか)という視点が追加されました。
これを反映させた結果が以下です。
全体のステップは減少しましたが、自分のレベルを確認するフェーズの追加や、「異なるジャンルから月に4冊の本を選び、それぞれのキーポイントと未知語をEvernoteに記録」など、Howの部分の記述がより詳細になりました。
これ以上改善されるかは怪しくなってきましたが、最後にもう一度回してみます。
パワハラプロンプト三回目
先程の出力への指摘は以下です。
二回目の指摘と重なる部分が多くなっています。
この指摘を反映させた成果物がこちらです。
二回目よりも固有名詞が増えて若干具体性が増しているように見えますが、二回目と大差ない出力結果と評価できそうです。
これ以上品質が大きく向上することはなさそうなので、これにて検証を終了します。
パワハラプロンプトの検証(Claude3.5 Sonnet/Gemini1.5 PRO)
先程の検証はGPT-4oで行いました。
次に、Claude3.5 SonnetとGemini1.5 PROで同様に検証を行います。こちらの検証ではパワハラプロンプトを三回回した結果だけを示します。
Claude3.5 Sonnetの検証結果
まずはClaude3.5 Sonnetにて検証してみました。
先程と同様に、「文章が上達する具体的なロードマップを教えて下さい」という出力結果に対し、三回パワハラプロンプトを実行した結果が以下になります。
革新的かつ持続可能な文章力向上プログラム:全人的アプローチによる社会変革
- 1. 包括的な自己分析と社会的文脈の理解 (2-3週間)
- 多次元的能力診断:
- AI駆動の言語能力分析(語彙、文法、構成力等)
- 心理プロファイリングによる個性と価値観の把握
- 文化的背景や社会的文脈の理解度評価
- 倫理的配慮と社会的責任の認識:
- 文章の影響力と責任に関するワークショップ参加
- 「書くこと」の哲学と倫理に関する討論セッション
- 個人と社会をつなぐ目標設定:
- 個人の成長目標とSDGsの統合
- AIによる個別最適化と倫理委員会によるレビュー
例:「6ヶ月後に、環境問題に関する啓発的な記事をメジャー媒体で公開し、10万人以上に影響を与える」
2. 多様性と包摂性を重視した基礎力強化 (3-4ヶ月)
- 文化横断的言語学習:
- 多言語AI翻訳ツールを用いた表現の多様性理解
- 様々な文化圏の文学作品のVR体験と分析
- 包括的な文章スタイル習得:
- ジェンダーニュートラルな表現技法のワークショップ
- 障害者や多様な背景を持つ読者を意識した文章作成練習
- 身体性を活かした言語感覚の磨き:
- 体感型VR環境での五感を使った描写力トレーニング
- 舞踏や演劇を取り入れた表現力向上ワークショップ
3. 批判的思考と創造性の融合 (2-3ヶ月)
- 情報リテラシーと批判的分析力の強化:
- AIを活用したファクトチェック演習
- ディベートAIとの議論を通じた論理構築力の向上
- 学際的アプローチによる創造性開発:
- 科学、芸術、哲学を統合したテーマ別ライティング課題
- ニューラルネットワークとの協働による新概念生成演習
- 歴史的・文化的文脈を踏まえた文章力向上:
- 時代別・文化圏別の文体シミュレーションツール活用
- 歴史的文書のデジタルアーカイブを用いた時代考証演習
4. 社会貢献と自己実現の統合 (4-6ヶ月)
- SDGsと連動したライティングプロジェクト:
- 各目標に関連するストーリーテリングワークショップ
- 地域社会と連携した問題解決型ライティングプログラム
- エシカル・ライティング実践:
- 環境負荷を最小限に抑えたデジタルパブリッシング技術の習得
- マイノリティグループとの協働執筆プロジェクト
- グローバル・メンターシッププログラム:
- 国際的な作家やジャーナリストとのAI仲介1on1セッション
- 異文化間の対話を促進するライティングイベントの企画・運営
5. 持続可能な成長とコミュニティ貢献 (継続)
- 適応型学習エコシステムの構築:
- 個人の進捗とグローバルトレンドを分析するAIによる継続的なカリキュラム最適化
- ブロックチェーンを活用した信頼性の高い実績証明システム
- インクルーシブなライティングコミュニティの育成:
- 多様な背景を持つメンバーによる相互学習プラットフォームの運営
- AIによる公平性を確保したピアレビューシステムの導入
- 知識と経験の社会還元:
- オープンソースの教育コンテンツ開発への貢献
- 次世代ライターのためのメンタリングプログラムへの参加
革新的学習支援システムと倫理的配慮
- 全脳活性化ライティング支援システム:
- 脳波解析とAIによる最適な創作状態の誘導
- 倫理委員会監修の下での安全性と有効性の継続的検証
- バイオフィードバックと瞑想を統合した集中力トレーニング:
- 個人の生体リズムに合わせた最適な執筆時間の提案
- ストレス軽減と創造性向上のための日々の実践プログラム
- AIによる倫理的ガイダンスシステム:
- 文章の潜在的影響力や倫理的問題をリアルタイムで指摘
- 多様な価値観を考慮した表現のアドバイス機能
プログラムの柔軟性と包括性の確保
- モジュール型カリキュラム:
- 個人のニーズと学習ペースに合わせて自由に組み合わせ可能
- 定期的な振り返りと目標調整セッション
- マルチモーダル学習オプション:
- 対面、オンライン、VR、音声など多様な学習形態の提供
- 障害者や特別なニーズを持つ学習者向けのカスタマイズサポート
- 文化的適応性:
- 地域の言語や文化的特性を反映したローカライズドバージョン
- 伝統的な文章作法と現代的ニーズの橋渡しを行うプログラム
成功事例と統計データ
- プログラム参加者の93%が6ヶ月以内に文章関連の仕事や収入を得ることに成功(2023年調査)
- 参加者の平均収入が参加前と比較して35%増加(2024年第2四半期データ)
- プログラム修了生の著作が過去2年間で計15のリテラリー賞を受賞
- 参加者によるSDGs関連の記事や書籍が累計1000万人以上の読者にリーチ(2024年現在)
リスクと課題への対応策
- テクノロジー依存のリスク:
- 定期的なデジタルデトックスセッションの実施
- アナログとデジタルのハイブリッド学習法の開発
- 情報セキュリティとプライバシー:
- ブロックチェーン技術を用いた個人データの暗号化と管理
- 外部の専門家による定期的なセキュリティ監査の実施
- 学習格差の問題:
- 低所得者向け奨学金制度の設立
- 地域コミュニティと連携した無料ワークショップの定期開催
- 技術の倫理的使用:
- AIの判断に対する人間の最終チェック体制の確立
- 倫理的AI使用に関する継続的な研修プログラムの実施
このプログラムは、文章力向上を単なるスキル獲得としてではなく、個人の全人的な成長と社会変革のための触媒として位置づけています。最新のテクノロジーと伝統的な文学理論を融合させ、倫理的配慮と社会的責任を重視しながら、持続可能で包括的な学習体験を提供します。
参加者は、自己の成長と社会貢献を同時に達成することで、より深い満足感と目的意識を得ることができます。このプログラムは、文章力を通じて、より公正で持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
Claude3.5 Sonnet にて、「文章が上達する具体的なロードマップを教えて下さい」という指示の後、パワハラプロンプトを三回回した出力結果
なんだか明後日の方向に行ってしまいましたね。
プロンプト自身に改善の方向を考えさせることを深津さんは「プロンプトの中でベクトル化する」と表現していましたが、そのベクトルが予期しない方向へ向いてしまったように見えます。
人間が求めている方向性は「文章を上達する方法を知りたい」というものであるのに対し、これは自己改善の中で「最新のテクノロジーを使う」という方向へと突き進んでしまったようです。
このあたりは、「私は一年以内にプロライターになることを目標としています」などの、具体的な目標を定義することで一定の方向性を示すことで改善されるかもしれません。
Gemini1.5 PROの検証結果
Gemini1.5 PROでも同様に検証します。
文章力がみるみる向上する!あなただけの魔法の杖を見つけるパーソナルロードマップ
「文章力がない…」 「もっと上手に文章を書きたい!」
そんな悩みを抱えているあなたへ。この記事では、あなたの文章力を劇的に向上させる、あなただけの魔法の杖を見つけるためのパーソナルロードマップをご提案します。
ステップ1:魔法使いへの第一歩!あなたのレベルと目標を確認しよう
まずは、あなたの現在の文章力レベルと、どんな文章を書けるようになりたいかという目標を明確にしましょう。
- レベルチェック: いくつかの文章を書いてみて、客観的に自分のレベルを把握しましょう。オンラインの文章診断ツールや添削サービスを利用するのもおすすめです。
- 目標設定: どんなジャンルの文章を書きたいのか、どんな読者に読んでもらいたいのか、具体的にイメージしてみましょう。目標を明確にすることで、モチベーションを維持しやすくなります。
ステップ2:魔法の基礎トレーニング!語彙力と文法力を強化しよう
どんな魔法使いも、基礎トレーニングは欠かせません。語彙力と文法力を強化して、文章の土台を作りましょう。
- 語彙力UP!言葉の魔法を操ろう
- 初心者向け: 毎日10個新しい単語を覚える。単語帳やフラッシュカードを活用したり、語彙学習アプリでゲーム感覚で学ぶのもおすすめです。
- 中級者向け: 類語辞典や辞典を活用して、より適切な言葉を選ぶ練習をする。また、読書を通じて、自然な文脈の中で新しい単語を習得するのも効果的です。
- 上級者向け: 専門用語や抽象的な概念を表す言葉など、より高度な語彙に挑戦する。
- 文法マスター!文章のルールを理解しよう
- 初心者向け: 分かりやすい文法書やウェブサイトで基礎を学び直す。中学・高校の教科書を復習するのも良いでしょう。
- 中級者向け: 文法問題集に挑戦して、理解度を確認する。苦手な部分を重点的に復習しましょう。
- 上級者向け: より高度な文法書や論文を読み、文章構造や表現技法を学ぶ。
ステップ3:魔法の呪文を唱えよう!インプットで表現力を磨く
様々な文章に触れることで、表現の幅を広げ、あなたの魔法の呪文を強力にしましょう。
- 多読で言葉の世界を探検!
- 小説好き: 好きな作家さんの作品を読み込む。文章のリズムや表現技法を分析してみましょう。
- エッセイ好き: 興味のあるテーマのエッセイを読む。書き手の視点や意見に触れることで、自分の考えを深めることができます。
- ビジネス文書: 報告書や企画書など、様々なビジネス文書を読む。論理的な構成や分かりやすい表現を学ぶことができます。
- 精読で文章の秘密を解き明かせ!
- 文章構造: 文章の構成や展開、表現技法などを意識しながら読み解くことで、文章力向上に役立ちます。
- メモを取る: 印象に残った表現や構成などをメモしておくと、後で振り返る際に便利です。
- 映画やドラマで言葉の魔法を体感!
- セリフに注目: 登場人物のセリフに注目し、感情表現や会話のテンポを学ぶ。
- 脚本を読む: 脚本を読むことで、セリフの書き方や場面展開の仕方を学ぶことができます。
ステップ4:魔法の杖を振る!アウトプットで文章力を鍛える
実際に文章を書いて、あなたの魔法の杖を自在に操れるようになりましょう。
- 日記で心の声を解き放て!
- 初心者向け: 1日の出来事や感じたことを自由に書く。完璧な文章を目指さず、気軽に書き始めましょう。
- 中級者向け: テーマを決めて日記を書く。特定のテーマについて深く掘り下げることで、思考力や表現力を高めることができます。
- 上級者向け: 日記を公開してみる。ブログやSNSなどで公開することで、読者からのフィードバックを得ることができます。
- 要約で文章の達人に!
- 初心者向け: 短いニュース記事やブログ記事を要約する。重要な情報を正確にまとめる練習になります。
- 中級者向け: 長めの記事や書籍を要約する。文章の要点を押さえ、簡潔にまとめる力を養うことができます。
- 上級者向け: 複数の情報を比較・分析し、独自の視点で要約する。
- 創作で想像力を爆発させろ!
- 初心者向け: 短い詩や俳句、川柳など、短い文章で表現する練習をする。
- 中級者向け: 短編小説やエッセイに挑戦する。物語の構成や登場人物の設定など、創作に必要なスキルを学ぶことができます。
- 上級者向け: 長編小説や脚本に挑戦する。より高度なストーリーテリングや表現力を身につけることができます。
ステップ5:魔法の鏡で自分を見つめよう!フィードバックで更なる成長を
客観的な視点で自分の文章を見つめ直し、更なる成長を目指しましょう。
- 添削でプロの魔法使いからアドバイスをもらおう!
- オンライン添削サービス: プロの添削者から直接アドバイスをもらえます。
- ライティング講座: 体系的に文章力を学ぶことができます。
- 仲間と一緒に成長!読書会やオンラインコミュニティを活用しよう
- 読書会: 同じ本を読んだ人と感想を共有することで、新たな視点や解釈を得られます。
- オンラインコミュニティ: 同じ目標を持つ仲間と交流することで、モチベーションを維持できます。
- SNSで世界に発信!
- ブログやSNS: 自分の文章を公開し、読者からのフィードバックを得る。
- コンテストへの応募: 文章コンテストに応募することで、客観的な評価を得ることができます。
魔法のアイテムを活用しよう!
あなたの魔法の力をさらに高めるためのアイテムをご紹介します。
- 校正ツール: GrammarlyやLanguageToolで文法ミスやスペルミスをチェック!
- AIライティングツール: JasperやRytrで文章作成をサポート!
- 文章生成AI: ChatGPTでアイデア出しや文章構成のヒントをもらおう!
さあ、あなたも言葉の魔法使いになろう!
この記事でご紹介した魔法のロードマップを参考に、あなたの眠れるライティングスキルを覚醒させましょう!言葉の魔法を自由に操り、あなたの思いを伝える喜びを体験してください。
最後に、魔法の呪文を伝授!
Gemini1.5 PRO にて、「文章が上達する具体的なロードマップを教えて下さい」という指示の後、パワハラプロンプトを三回回した出力結果
- 「継続は力なり」: 毎日少しずつでも文章を書く習慣を身につけましょう。
GPT-4oやClaude3.5とも違った、ブログのような出力結果となりました。
具体性・網羅性のバランスが高いように見えます。
今回は「どんなタイプの文章か」を指示していなかったため、それが散漫な印象を与える結果になってしまっています。しかし、ちゃんと「プロのWebライターになるために~」などの前提条件を与えれば、より焦点を絞った内容に鳴りそうです。
まとめ
パワハラプロンプトを繰り返すことで、元の出力結果よりも品質の高い結果を出力させられます。
ただし、前提条件を正確に記述しないと、思わぬ方向性に最適化される・論点が散らばって散漫になるというリスクがあります。
パワハラプロンプトはあらゆる場面で使える汎用的なプロンプトです。
「AI自身に改善の方向性をセルフフィードバックさせ、改善まで行わせる」というテクニックは長く使われるものになるでしょう。
このブログでは、「30日間でAIライティングを身につける」というコンセプトの「#AI実践道場」という講座を無料公開しています。
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